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ぽぜおくんの憑依日記

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未知との遭遇

終業のチャイムが鳴り響いてから2時間近くが経過した頃、校内は驚く程の静寂に包まれていた。
グラウンドを賑わす運動部の掛け声も、旧校舎から微かに届くブラスバンドの演奏も、今日ばかりは鳴りを潜めているようだ。
他でもない、今日をもって定期テスト期間という名の大変有難い一大イベントが幕を開けたのだった。
部活動が禁止されているということもあり既に大半の生徒はそそくさと帰宅してしまったようで、どこの教室を見ても文字通りもぬけの殻だ。
そんな中俺はというと、未だに帰路に着くこともなく校舎の中をあちらこちらと歩き回っていた。

「無い……どこにも無いっ」

見つからないのである。この数ヶ月居眠りの誘惑に耐えながら、苦行とも言える時間の中で刻んできた汗と涙の結晶、物理のノートがどこを探しても見つからないのだ。
最期に記憶に有るのは一限目の第二理科室での授業の時だ。唐突に教師に当てられ、板書が中途半端になってしまったことをよく覚えているから間違いない。
勿論その第二理科室は既にロッカーの中まで漁り尽くしたし、なんならその隣の隣の教室まで全て見て回った後だった。
それでもノートのノの字の気配も無いものだから、やけくそとばかりに校内の思い当たる節全てに総当りをかけようと腹に決め、何の成果も得られないまま今に至るのだった。

「まいったな……誰かが間違えて持って帰ったのかなぁ……」

俺はお世辞にも勉強が出来る方ではなく、これまでのテストというテストは全てテスト期間中の付け焼き刃で乗り切ってきた。
そのお供であるノートが見つからないとなれば、結果は火を見るより明らかだ。
よりにもよって物理のテストは週明け真っ先に執り行われるので、再優先で対策を打たなければならない科目であるにも関わらずこの体たらくだ。

「はぁ、こりゃもうどうしようもないな。誰かに写させて貰うしかないか……」

誰かに借りを作るだけでもあまり喜ばしいことではない上に、あの膨大な量の板書を一から書き直す羽目になるのだ。想像するだけでげんなりするが背に腹は代えられない。
コンビニでコピーするという手も無くはないのだが、それは俺の懐事情が許さなかった。
まあ、書き写すことで暗記の一つぐらいは進むかもしれない。物理以外にも勉強を始めておくべき科目は有るし、今日のところはそちらから手を打とう。
そうプラスに捉えることにして通学バッグを回収するべく教室へ戻ろうとしたその時、ふと誰かの声が聞こえたような気がした。
始めは居残りをしている誰かが会話でもしているのかと思ったが、どうも様子がおかしい。耳をすませてみると、まるで呻くような声が定期的にどこからか聞こえてくるのだ。
そもそもこの辺りは書庫だの会議室だの、放課後には生徒どころか教師すら立ち入る理由など無いに等しい部屋が固まった一角だ。そんなところまでノートを探しに来た俺も俺だが。

「……あ…………です……うあ……」

また聞こえた。聞こえてくるのは一人分の声だけだ。恐らくは、女子生徒の。
人気が無いのをいいことに誰かがヤッてるんじゃないかとも思ったが、耳に入ってくるのは本当に一人の声だけで、それでは説明が付かない。
あれこれと推測を立てながら声のする方へと向かっていると、廊下の奥にある視聴覚室のドアが半開きになっているのが見えた。
段々と鮮明になってくるその声を聞きながら、あのドアから漏れ出ていることはほぼ間違いないだろうと確信した。
ドアのすぐ目の前に辿り着くと、いよいよ内容が聞き取れるまでになった。やはり一人で何かしらを話している様子だ。
足音を立てないように近くの壁に身を寄せ、じっと聞き耳を立ててみる。

「……はい……わたしは……里岡高校に通う……あっ……2年生……です……あっ……」

なんだ? 一体何を話している?

「ああっ……2年生……ですっ……2年目の……私は……」

全く状況が掴めないが、何かしらの異常事態が起きているということだけははっきりと分かった。
正直、冷や汗を垂らす程度には怖気立っていた。膝も少し震えているようだ。しかし好奇心というのは恐ろしいもので、俺は気付けば身を乗り出して視聴覚室の中を覗き込んでいた。

「2年生はっ……2年目なのでっ……今日で1年と……227日目ですっ……あっああっ……」

その女子生徒は両腕をだらんと垂らしながらこちらに向かってほぼ真正面に膝立ちをしていた。
しかし顔はこちらに向いていても、その目は心ここにあらずといった様子で完全に明後日の方向へ向かっていた。
いや、そんなことよりも問題なのは、耳から何かが出ている。自分で言っておいて意味が分からないが、とにかく今彼女の両耳からは黒いコードのようなものが幾本も生えており、
それが天井へと向かって伸びていたのだ。そしてそのコードが向かう先には……あれは、何だ?
50センチにも満たない皿のような平板の上に、半球がくっついた金属質の……まるでSF映画に登場するUFOのような……

「ひっ、あっ……」

突然彼女がビクンと大きく震え、俺の思考は中断された。
彼女は焦点の合わない目をしたまま、ゆっくりとこちらを見据えた。まさか気付かれたのか。全身から冷や汗が吹き出た。
しかし彼女はそのままの体勢で、ぴくりとも動くことはなかった。瞬きすらせずにただ目だけをこちらに向けている。
よく見るとあれは2年C組の須藤さんじゃないか。頭だけはやけに冷静に俺はそんな場違いなことを思った。
C組の須藤絢香と言えば、同級生の間でしばしば話題に上る程度には名の知れた生徒だった。
理由はと言えば、単純に可愛いからだ。これ以上ない程整った顔立ちに加えて、肩にかかる程度のサラサラの黒髪が人気の秘訣なんだとか。
それを鼻にかけるようなこともない性格も相まって、彼女にしたい女子ランキングの常連に名を連ねていた。
そんな須藤さんが今、普段の面影はどこへやらといった様子で俺の前でじっと佇んでいる。と、その時、

「はい……あれ……あれは……あっ……人間です……別の、人間……うあっあっ……ああっ」

何やら彼女が呻いたかと思うと、押し潰されそうな程の衝撃が突然俺の身体を襲った。

「ぐあっ、な、なんだっ!?」

思わず声が出たが、動いたのは口だけで、あとは指一本すら動かすことが出来なかった。
あれだけの衝撃を受けたにも関わらず、俺の身体は1ミリも移動することなくそのままぴたりと静止した。
衝撃が止んだかと思えば、首より下のほぼ全身をまるで目に見えない包帯巻にでもされたかのような束縛感がそれに続いた。
反射的に彼女の方を見ると、先程から表情一つ変わらずその目は虚ろなままだ。

「……すいません……危害を加える、ない、です……」

表情はそのままに、無機質な声で彼女は言った。
それと同時に、彼女の上に浮かんでいるUFOがチカチカと点滅した。

「な、なんだって……?」
「私たちは……あなたの敵では、違います……あっ……今、この人間のっ……使って、あなたに話しています……」

要領を得ない上に信じ難いことではあるが、余りにもテンプレな形状をしたUFOのおかげで大体の状況が飲み込めてきた。

「ええと、須藤さん……違う、あなたはひょっとして宇宙人……? ですか……?」
「宇宙人……あっ……がっ……そう、です……私たちはっ……遠くから、来ました……あっ」
「その上の、小さいUFO……に乗ってるんですか?」
「そう、そうですっ……この星へは、調査を……やってきました……」

概ね予想通りの回答が返ってきた。有り得ない話だろうが何だろうが、実際に目の前で起こっているのだから信じる他ない。
恐らく彼女の言う通り、このUFOは探査活動の一環でこの学校に訪れたのだろう。
会話をする内に段々とこの状況に慣れてきた俺は、一番気になっていたことを口にしてみた。

「それでその……須藤さんの耳から出てるそれ、何ですか? というか、須藤さんに何してるの?」
「須藤……あっ……この人間……近くにいたから、調査、しています……あがっ、ひっ……」

これも悪い意味で予想通りだった。
つまり彼女は、地球人とは何たるかを調べる為に頭にコードをぶち込まれて脳髄を直接解析されているわけだ。
そのついで半分にこうして翻訳機代わりにされてしまっているのだから、友好的な宇宙人が聞いて呆れる。宇宙人に地球基準の倫理感を求めても仕方の無いことなのかもしれないが。
涎を垂らしながら宇宙人の発言を延々代弁させられる彼女を見ていると、最早同情するしかない。

「人間っ……人間の、中枢神経系……と……伝達機構があっ……想定以上に複雑だったので……物理的に接続してっ基底核を中心に、解析っ……」

どうやらあの耳に刺されたコードにもそれなりの理由があるらしいが、だからといって脳を直に弄くられたのではたまったものではない。
それはそうと須藤さん、やけに難しい言葉知ってるんだな……。まあ、あの調子だと限界まで記憶を引き出されているとか、そういったところなのかもしれない。
そこでふと思いついた俺は、ほんの出来心から宇宙人とのファーストコンタクトそっちのけであらぬ事を質問してしまった。

「……須藤さんのスリーサイズ、いくつか分かる?」
「あっ……2週間前の測定、ではっ……上から83、59、84……ですっ……」

俺は宇宙人に心の中で敬礼を送った。彼らが友好的な種族だということは間違いないだろう。うん、多分。
とはいえ、数字だけ聞いても正直よく分からないのだが。もうちょっと実になることを聞いてみよう。

「須藤さんって好きな人とかいるの?」
「好き……この人間にとって……配偶相手として、最も有力であると……あっ……見込まれている別個体、のっ……ことでしょうかっ……」
「……えらく表現が生々しい気がするけど、まあそうです」
「それはっ……A組の……山中くん……ですっ……」
「へ、へえー……」

俺と同じクラスの男子生徒の名前が飛び出てきたものだから、ちょっと驚いた。
確かにあいつは絵に描いたようなイケメンだし、須藤さんが惚れるのも分からないでもない。
このまま悪ノリを続けたいところだったのだが、先程この宇宙人に謎の力で拘束されてからそのままなので、いい加減全身が嫌に強張ってきた。

「あの……ところで俺を縛っているこの、なんて言うんだろう、これ。なんとかならない? 出来れば外して欲しいんだけど」

質問の方向性を変えざるを得なかった。とりあえず提案してみる。

「それはっ、無理です……っ」
「ええっ、なんで?」
「事を荒立てたくない、のでっ……あなたが誰かを、呼び出さない、とも……あっ……限りません……」

ごもっともといえばごもっともだった。正直、このUFOを振り切って助けを求めることなど出来る気もしないのだが。困ったことになった。
しかしこの宇宙人、短時間の会話の中でえらく日本語が流暢になってきたように思える。
恐らくこうしている間にも須藤さんの解析は進められているのだろう。俺との会話の中で情報を蓄積しているおかげも有るのかもしれない。
また解析が一段進んだのか、ちょうど彼女は「あひっ」と呻きながら頭をガクガクと上下させているところだった。
いやいや、このまま縛られていては俺もああされかねない。それだけは御免だった。

「ええと、絶対に逃げないし助けも呼ばないし、そこをなんとか」
「その提案のメリットがっ……我々にとって薄い、ですし……真偽も不明、ですっ」

敵意は無いとは言いながらも、その辺りはやたらとシビアに行くつもりらしい。
まあ彼らにしてみればここは未開も未開な地なわけで、当然の判断なのかもしれない。しかしここで引き下がるわけにはいかない。

「なんだったらその調査とかいうのにも協力するから。ほら、そうやって脳みそ弄ってるだけじゃ分からないところもあるんじゃないの?」
「…………」

彼女は動かない。今頃あのUFOの中では宇宙人たちがあれこれと議論しているのだろうか。
十数秒後、再び彼らは彼女の口を借りてこちらに語りかけ始めた。

「わかっ、りました……。では、まず何か、適当な嘘を、吐いてくださいっ……」
「えっ……? なんで、って……ええと……わ、私は総理大臣です」

指示の意味がよく飲み込めなかったが、とりあえずは従ってみる。

「ではつぎっ次に、何か本当のことを……言ってみて、ください」
「き、昨日の晩飯は豚カツでした……」
「それでは、最期にっ……あっ……その拘束を解いてもっ、あなたは我々の不利益とっ、なるっ……行動を一切取らないと……約束できますかっ」
「は、はい……約束、します」
「……確認しましたっ……拘束を解除、します……」

その瞬間、俺の全身を縛り付けていた力が嘘のように失せ、思わず膝から崩れ落ちてしまった。
今のはつまり、この短い問答の間に嘘発見器めいたシステムを創り上げたということか。改めて彼らの科学力が地球人のそれとは比較にならないレベルであることを実感されられた。
ともあれ、身体の自由は効くようになった。当然逃げるつもりなど毛頭ないが、さてどうしたものか。

「それで、協力するとは言ったけど……そのコードを俺にも挿すというのは、ちょっと止めて貰いたいんだけど」
「一度に複数個体の解析を行うのは……本船のリソース上、困難ですっ……」
「ああ、そうなの。じゃあ、俺どうしようか。帰っていい?」
「お待っ、ち……下さい……あぁっ……」

どうやら一筋縄ではいかないようだ。この状況にも大概順応してきたことだし、向こうが危害を加えるつもりもないのならそれほど問題でもないが。
少し溜息を付き、須藤さんの方をちらりと伺う。相変わらず耳からコードを生やしながら、定期的に痙攣のような動きを見せている。
しかしなんというか、宇宙人の為すがままにされている彼女の姿には始めこそ恐怖と同情を覚えたものだったが、こうやって見ていると……
正直ちょっと、なんかエロい。捕らえられる時に抵抗した跡なのか制服は乱れているし、意識も無いだろうから完全に無防備の状態だ。今ならスカート捲ってもバレないんじゃないか。
おまけに定期的に「あっあっ……」等と言って身体を震わせるものだから、どうしてもその手の連想をしてしまう。
須藤さんには申し訳ないが、彼女のそんな様子を見ていると、本当に申し訳ないのだが俺の息子が少し反応してしまうのだった。俺も男だ。本能には逆らえない。

「あなたの下腹部……泌尿器周囲に、血液の異常な集中がっ……確認されました……」
「えっ、あっはいっ! すいません!」

おっ勃ったことを本人の口から冷静に指摘され、素で謝ってしまう。なんだこの状況は。
予想外な、そして恥ずかしいことに彼らはこの現象に妙に興味を示したらしく、彼女は少し間を置いて痙攣混じりに言葉を続けた。

「ああっ、がっ……なる、ほどっ……あなた方は、個体同士、一対一の身体的な接触により、遺伝情報をやり取りするの、ですねっ……」
「ま、まあ……そうだけど」
「次なる個体は……個々の形質を……あっ……それぞれ受け持つ……非常にっ、原始的ですが……合理的な、システムです……」

少し上から目線が入っているのが気になるが、地球でメジャーに行われている雌雄異体の繁殖行為は、彼らにとって斬新なものであったらしい。
想像以上に食い付いてきた彼らは、続け様に信じ難い協力案を投げかけてきた。

「それではっ……あなたが持つ遺伝情報を、我々に提供してっ、いただけないでしょうか」
「……へ?」

仰る意味が分からない。いや、分かる。分かるのだが、これはアレか。つまりそういうことか。
現金な俺の頭はここぞとばかりにフル回転を始めた。この機会を逃してなるものか。慎重に言葉を選びながら口を開いた。

「そう、そうね。遺伝情報ね、出せるけど……それはその、須藤さんにとっても、結構アレなことなんじゃないかなー、と……」
「あっ……性行為を通じての精子授受はっ……確かに、このメスにとっても、通常受け入れ難い行為であるようですっ……」

性別という概念を理解し始めたのか、ついにメス呼ばわりを始めた。いや、そんなことより待ってくれ。そこは引き下がらないでくれ。
テスト勉強をしている時には見せたこともない程の集中力の高まりが、俺に二の句を継がせた。

「確かにその通りかも、だけど……えー、そう、その性行為というのはですね。この上ない程の友愛の証なんですよ。つまりこれは我々地球人とあなた方にとって、
理想的な関係を築くための第一歩となるのではないかと……」
「しかしこのメスによると……あっ……特にあなたとの性行為は、決して望まれるものではっ、ないようですが……あっ……」

流石は須藤さん、意識が無いのにも関わらずガードが固い。しかし確かに俺はモテないけれど、そこまではっきり言われると少々凹む。

「いや、確かに、そうかもだけど……他に俺のせい、遺伝情報を渡せる手段も思いつかないわけで……」
「オスはっ……単独でも自慰っ、行為により精子を排出できるのでは……」
「出来なくはないけど、外に出しちゃうと……、そう、空気っ! 空気に触れちゃうと劣化しちゃうんだって」
「紙繊維……ティッシュ等で被覆することでっ……比較的鮮度を保てるっ、はずです……」

クソッ、詳しいな須藤さん! そんなに俺とやるのが嫌なのか、手強すぎる。
だがこの千載一遇のチャンスを物にせんと、俺はさらに捲し立てた。

「仮にも女の子の前でオナニーするだなんて、男にとっては死ぬほど恥ずかしいことなんだよ。いや、喜ぶ人もいるかもしれないけど……ともかく俺はそんなことをするぐらいなら、いっそキンタマ切られて精子を取り出された方がマシだ」
「あっあなたがそれを望むのなら……我々は構いませんが……」
「ちょっ、ちょっと待って! あくまで例えば話であって、そんなことされたら死んじゃうって!」

相手が宇宙人だということを忘れていた。彼らなら本当にやりかねない。
しかし俺の怒涛のプレゼンが功を奏したのか、彼女はまた人形のようにぴたりと動きを止めた。UFO内での議論に入ったようだ。そして……

「わかっ、わかりました……このメスに実害を与えない範囲でっ……性行為っ、行うことと、しましょう……あっ……」
「喜んでっ!」

人目もはばからずガッツポーズが飛び出た。須藤さんにはちょっと申し訳ないけど、今日が俺の童貞卒業記念日だ。
自分の頭越しに喜ばしくない結論が下されてしまったにも関わらず、彼女の表情は相変わらず無機質に呆けたままだった。

「性行為……の為には……あっ……いくつかのプロセスがっ、不足しているようです……少々お待ちをっ……」

それだけ言うと、一瞬の間を置いてUFOがちらりと発光した。と同時に、彼女の身体がこれまでにない程大きく跳ねた。

「ああぁ! がっ、あ……ひっ、ひぐっ……!!」

突然の悲鳴に思わず後ずさりしてしまった。彼女の身に何が起こったのかは分からなかったが、あのコードを通じて何かしらの命令が出されたのは間違いない。
元々明後日の方に向けられていた彼女の目が更にぐるんと上に向かい、続けて最早痙攣とは言えないレベルで大きく身体を仰け反らせた。

「ぎっ、あっ……はっ……あ、ああっ♡♡」

苦しげな悲鳴が、しばらくすると艶めかしい声色に変わっていることに気が付いた。
膝立ちをした脚はガクガクと震え、スカートの裾から下には夥しい量の水が太腿を伝っているのが見える。あれは愛液か、失禁したのか。あるいはその両方か。
どうやら宇宙人の脅威の科学力をもって、寸刻の間に体作りが成されてしまったらしい。彼女の足下にはまるでバケツを引っくり返したかのような水溜りが出来ていた。
見ると、顔の方は無機質な表情ながらもすっかり上気しているようだった。それによほどショックが大きかったのか、ひくひくと顔を引き攣らせながら涙に涎、おまけに鼻水まで、
顔中から液という液を垂れ流している。耳からも若干汁のようなものが出た跡が有るのだが、大丈夫なのかアレ。

「あ……あは……♡」

そんな哀れな須藤さんを前にして、俺の股間は既に臨戦態勢を整えていた。悪いとは思いつつも、辛抱堪らんといったところだ。
彼女は水を滴らせながらゆっくりと立ち上がり、こちらにむかって歩いてきた。
それに併せて頭上のUFOもふよふよとこちらに漂ってきている。コードに吊られながら歩く彼女のその姿は、まるで悪趣味なクレーンゲームのようだった。

「あっ……♡ お待たせしました……それでは、どうぞ……」

彼女はそう言うと震えた左手でスカートをたくし上げた。ぐしょぐしょになったパンティが露わになるも、間髪入れずに右手がそれをぐいと引きずり下ろした。
俺の眼前で惜しげも無く彼女の恥部が披露された。実物を見るのは初めてのことだが、今まで見てきたどのAVにも敵わないほど綺麗なピンク色をしている。
おまけに先程のショックの影響なのか、常識では考えられない程ひくひくと蠢いているものだから少々グロい。
面食らいながらも、俺もベルトを外してさっさとズボンを下ろす。はち切れんばかりに膨張した俺の息子がようやく解放され、雄々しく面を上げた。

「ええと、それでは失礼して……」

俺は彼女のすぐ目の前まで歩み寄ると、改めて彼女の姿をまじまじと見つめた。
やはり可愛い。美少女と呼ぶに相応しい彼女の身体を、特等席で舐めるように睨めつける権利を得た者など、おそらく誰一人いなかったことだろう。
彼女にこれまで彼氏が出来たことが有るかどうかは知らなかったが、いたとしても例えばこんな風に胸に鼻を思い切り押し付けさせたりとか、そういうことはさせないんじゃないかと思う。
そんなことを考えながら、俺は彼女の汗とボディソープの匂いが混じったなんとも言えない香りをブレザー越しに堪能した。
ふと顔を上げると、柔らかそうな唇が僅か数センチの距離にあった。俺は今更ちょっと躊躇しながらも、そこに自分の唇を重ねてみる。

「ふむっ……♡」
「んん……っぷは……これはヤバい……」

舌まで突っ込もうかとも思ったが、タイミング悪く痙攣でも起こされては堪らないので止めておいた。とりあえずファーストキス卒業だ。
どうも彼女の方から積極的に動く気配は無さそうなので、ひとまず上の方も脱がせてみることにした。
荒っぽい吐息が耳にかかるのを感じながら、一つ一つボタンを外していく。まずはブレザーを剥がし、続いてブラウスのボタンも外しにかかる。
最後の一つが外されると、白のブラジャーと共に形の良い胸が現れた。AVで得た知識を頼りに、そのまま背中のホックも外す。
寄る辺を失ったブラジャーがはらりと床に落ちると、今度はこれまた綺麗な色をした乳首が露わになった。下の穴と同じく、こちらも既にビンビンだ。

「おお……そ、それじゃあ寝転がり気味に股をこう、開いてくれれば」
「はっ……♡ こ、こうですか……?」

言われるままに床に座って上体を倒し、ぎこちない動作でM字の体勢を取る彼女。
考えてみれば彼ら宇宙人はこのような行為に至るのは当然初めてなわけで、彼女の記憶の他にはこちらの指示に従う他ないわけだ。
ここは俺がしっかりとリードしてやらねばなるまい。自分が童貞であることも棚に上げ、俺は意気込んだ。
彼女の姿勢に合わせるように腰を下げた俺は、いよいよその時を迎えた。

「よし、じゃあ、お、お願いします……」
「はっ、はい……♡ お願いします……♡」

ずぶり、とした感触と共に包まれるような快感が俺を襲った。彼女は「ふぁっ……♡」と一声上げ、蕩けたような表情を見せた。
宇宙人が逐一喘ぎ声の命令を与えているとも考えられないので、この辺りの反応は彼女の身体自身のものなのだろう。
そう思うと尚更興奮してきた。俺は腰に力を込め、一定のリズムでひたすら彼女を突いた。

「ふっ……あっ……あっ……あぁ♡♡」

部屋に響き渡る嬌声が耳に心地良い。誰かに聞こえてしまう可能性など、考えもしなかった。
彼女の目はやはり虚ろなままだが、その表情は先程までとは比べ物にならない程生き生きとしているように見えた。

「やっあっ……あっ……♡」

身体をくねらせながら快感に応える彼女。一方で俺の方も絶妙な具合にカリを襞で撫で上げられ、思わず声が漏れ出てしまう。
これが先程宇宙人に身体を開発された影響なのか、それとも彼女の穴が元より名器だったのかどうかは、比較対象を持たない俺には知るすべもない。
ともあれ腰の動きはその快感を受け、更に前後運動を強めていった。

「ああっ♡ ……あ、ひぎっ! ……んぁ、あっ♡」

それまで悦に入っていた彼女の表情が一瞬強張り、悲鳴を上げると共にその身体を一段と大きく痙攣させた。
あまりに激しく動くものだから丈の足りなくなったコードが張り詰めてしまったのだ。引っ張られた頭上のUFOが、がくんとその高度を落としたのが見えた。
しかし彼女は何事も無かったかのようにまた嬉しそうな表情に戻り、俺の息子をさらに求め続けた。
耳から出てくる汁もついでにその勢いを強めているようだが、本当に大丈夫なのだろうか。後遺症が残らなければいいのだが。
流石に彼女の身が気掛かりになってきた頃、その心配はすぐさま他の思考で上塗りされて掻き消えた。俺の方がそろそろ限界なのだ。

「ご、ごめっ……俺もう、出そうっ」
「はぁっ……あっ……♡」

彼女の返事は無い。そもそも向こうにしてみれば俺が早漏だろうが精子の回収が出来れば良いわけで、問題であるとすら認識していないのかもしれない。
それにしても、自分の童貞気質が恨めしい。しかし自慢の黒髪を振り乱しながらひたすらに喘ぐ彼女の姿に、この快感……
我慢しろという方が無理な話だ。

「も、もう出るっ! うぅっ!」
「あっ……あっ……あ、あぁ~~~♡♡♡」

俺がイッたと同時に、彼女もそれを受け入れた。勢い良く彼女の中に精子が注ぎ込まれる感覚。
普通なら少々不味いことになりかねないところだが、そのあたりは彼らがなんとかしてくれることだろう。
遠慮無く果て尽くした俺は、余韻にしばし身を委ねていた。

「はーっ……はーっ……♡」

彼女の方も、身体を横たえてただ天井を見上げながら息を整えているようだった。
俺は名残惜しみながらゆっくりと息子を引き抜くと、彼女と、その向こうにいる宇宙人たちに向けて語りかけた。

「す、すごくよかった……ごちそうさま、です」
「ん、はぁ……はぁ……」

静かな息遣いで応える彼女をしばらく眺めていた俺は、ふと思い立つと頭上のUFOを見上げた。
先程下げられた時の高度を保ったままで、時折チカチカと発光している。

「えっと……これでオーケーなのかな?」
「あっ……あ、あぃ……もんだいなぃ、でしゅ……」

最初に会った時とは違った意味で口調が乱れ始めている。彼女の身体もそろそろ本当の意味で限界なのだろう。

「た、たひかに……いでん、じゅりょぉ……しまひた……あぃがとうごじゃ……ましゅ……」
「あ、うん……で、そろそろ須藤さんも放してあげないとちょっとヤバそうなんだけど……」
「あぃ……こ、このメしゅにも……かんしゃ……ひていましゅ……そぇでは、さよぉなら……がっ、かはっ!!?」

彼女の顔がまた苦悶に歪んだかと思うと、ばすんばすんという音が聞こえた。
大量の汁を伴いながら、彼女の耳からコードが一本ずつ引き抜かれたのだ。
最早痙攣するだけの気力も残されていないのか、彼女はコードが抜かれる度に静かにぶるぶると身体を震わせていた。
と、そこで俺は気が付いてしまった。このままでは不味い。

「ま、待って待って! それ一旦ちょっと止めて!」
「は……はぇ……?」

間一髪、コードが一本だけ残された形で引き上げ作業は中断された。
どうやらこの状態でも意思の疎通は出来るようだ。

「あの、俺達の身体とか服に付いた汚れをなんとかしてから帰って欲しいんだけど……」

このまま放り出されてしまっては、俺が彼女を襲ったと取られかねない。いや、あながち間違いでもないというか、完全に事実なのだが。
こちらの言い分が伝わったのかどうか、最早完全にイッた目をしている彼女の表情からは伺い知ることが出来ない。
すると突然、部屋中が昼間と見紛うばかりの眩い光で包まれた。
思わず両目を腕で覆った俺が再び目を開けると、衣服や身体は勿論のこと、床やそこらに付いた淫行の跡が一つ残らず消え去っていた。
彼らにならこの程度は訳もないことだろうとは予想していたが、やはり驚きは隠せなかった。

「あぃ……こえで……だいじょぉぶでしゅ、か……?」
「は、はい。大丈夫、です」
「そぇでは……あうっ」

最後の一本が彼女の耳から引き抜かれると、相手を失ったコードたちは纏めて音もなく消え去った。
呆然として見上げる俺を眺めるかのようにその場に留まっていたUFOは、しばらくするとチカッと一度だけ発光した後、コードと同様に姿を消した。

「行っちゃった……のか」

時間にすればわずか数十分にも満たない間の付き合いではあったが、何故だか寂寥感のようなものを抱かずにはいられなかった。
しかし……

「どうしようか、これ」

汚れの問題こそ解決されたものの、残されたのは裸の男女二人組。
確かに服を着せてくれとまでは言わなかったが、自分はともかく彼女の方はどうすればいいのか。
彼女はぐったりとした様子で床に倒れ込んだまま動かない。この状況で目を覚まされでもしたらどちらにしてもヤバい気がする。
ともかく急いで服を着せるしかない。もう二度と拝めないであろう彼女の身体を目に焼き付ける暇も無いまま、脱がせた時の逆の手順を踏んでいく。
意識の無い人間の身体は意外な程に重いという話をどこかで聞いたことは有ったが、それを身を持って痛感すること10分余、なんとか元通りの姿に戻すことが出来た。
元通りとはいっても依然目を覚ます気配は無いのだが、担いで運んでいくのも難しそうなので、彼女には悪いがそのままその場を立ち去ることにした。

「それじゃ、須藤さん。今日は本当に……なんというか、ごめん。あとで見回りの先生に電話入れておくから」

それだけ言うと去り際に彼女の胸をもう二揉み程させて貰ってから、俺はそそくさと引き上げた。


それから翌日以降、どうも彼女は学校を休んでいるらしかった。あの後公衆電話から「視聴覚室で誰かが倒れている」と学校に連絡はしておいたから、
大事には至らないだろうとは思っていたのだが、その日は不安と心配でテスト前の集中講義が全く頭に入ってこなかった。
別のクラスの出席状況を把握するのは中々難しく、かといって彼女と同じクラスの誰かにそれを聞くというわけにもいかず、もうテストどころではない心境だった。
そうして迎えたテスト初日、壊滅的な答案を提出するや否や、他のクラスメイトがニ科目目を前に悪あがきの丸暗記に励む中、俺は教室を抜け出した。
向かう先は勿論C組だ。流石にテストをすっぽかすことはしないだろう。そう思いたい一心で、彼女の姿を確認するべく俺はC組前の廊下を歩きながら、
何気ない様子で教室の中をちらりと見た。彼女は……いた。ここしばらくずっと空席だった窓側後方の席に、確かに彼女の姿を認めた。
彼女は普段と変わりない様子で友人たちと談笑していた。元々成績優秀な彼女のこと、今更どうこうするということもないからだろうが、ともかく俺はほっと胸を撫で下ろした。


その後卒業するまでの間、何度か廊下で彼女を見かける機会はあったものの、彼女は別段こちらを意識する風も無く、本当にただすれ違うだけだった。
もしかしたらあの時の記憶が残っていて、ということも無さそうで、そこでも俺は安堵の溜息をついたものだ。
今では都心の大学に通っているらしい彼女の様子は風の噂に聞くだけで、僅かな繋がりも失せてしまっていた。
俺も新天地での生活に四苦八苦する中で、あの日のことを振り返ることも少なくなってしまっていたが、それでもたまに思い出す。
彼らは今頃何をしているのだろう。テレビを点けて見ても宇宙人を発見したなどというニュースが流れることはなく、いつもと変わりない日常を報じているだけだ。
ひょっとしたら、今日もどこかの誰かが彼らの旺盛な探求心に振り回されているのかもしれない。
そんなことを考えながら、俺もただいつも通りの日常を過ごすのだった。

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コメント

抜きました。凄く抜けました。

Re: タイトルなし

> 抜きました。凄く抜けました。
有難うございます! 最大級の賛辞です!

素晴らしかった・・・・!

Re: タイトルなし

> 素晴らしかった・・・・!
ありがとうございます!その一言がマジ励みになります!

(´◓Д◔`)
( っก้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้c )

Re: タイトルなし

(*/∇\*)キャ

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ぽぜおくん

Author:ぽぜおくん
憑依・洗脳・寄生等、そこらへん関連のSSや雑記等を気が向いたら垂れ流していく予定です。毎度コメント・WEB拍手有難うございます。めちゃ励みになります。
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