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ストリーキング・スイミング
何を隠そう、俺は露出狂である。全てをさらけ出す解放感というか、呆気に取られた他人の顔が見たいが為というか、とにかく好きなものは好きなのだから仕方がない。冬の寒さも何のその、平均月2ペースで脱いでは見せてを繰り返し続けてきたのは多分俺ぐらいのものだろう。
だがしかし、世知辛いのは世の常か。俺の唯一の楽しみは数年程前から急速にそのリスクを増しつつあった。要するに、やたらと取り締まりが厳しくなったのだ。月2ペースなどと言ってる場合ではなかった。街の治安を守ろうというとは大変結構なことだが、人の気慰みまで奪い去ろうと言うのは一体どういう了見か。同志諸君がしょっぴかれるニュースを目にしては深く溜息を吐く、そんな鬱憤溜まることこの上ない生活が長らく続いていた。
転機は突然だった。
結論から言うと、俺の人生は良くも悪くも「憑依薬」なるブツのお陰で180度変わることとなったのだった。代わりに大変な額の借金をこさえてしまったのだが、それはこの際気にしないでおくことにする。とあるツテから手に入れたその薬は、読んで字の如く他人の身体を乗っ取って意のままに操ることが出来るようになるという代物だった。となれば、するべきことは一つだ。空に浮かぶ俺の足元には今、放課後の余暇に沸き立つ女子高生達の姿があった。たまたま最初に乗り移ったのが女性でなければ、恐らくその発想には生涯至らなかっただろう。まさか擦っただけでその身体に吸い込まれる等とは思ってもいなかったからなのだが、今ではその誤算に感謝する他ない。
「はーい皆集まってー。練習始めるよー」
コーチらしき女性の声と、それに応える疎らな返事。屋外プールの方からだった。水泳部と思しき集団が準備運動に勤しんでいる姿が目に入った。調度良い、今日はあそこから目星を付けることにしよう。
皆が皆、惜し気もなくその水着姿を披露しながら身体をほぐしている。そのすぐ隣でこうして一人一人品定めされているなどとは夢にも思うまい。とはいえ、別に俺はこうして覗き見をしたいが為に大枚叩いた訳ではない。目的はあくまで見られること。見せるに値する身体を探しているだけのことだ。
「うーん……」
運動しているだけあってか揃いも揃ってスタイルは上々だが、顔の方はどうだろう。この娘はパス、この娘もイマイチ。確かに俺は救いようもない変態野郎だが、だからといって女に興味が無い訳じゃない。そりゃどうせなら可愛い娘の方が良い。
「おっ、これは中々……」
皆が水泳帽を被って今一つ代わり映えしない中、思わず目に留まった少女が一人。少し大人しそうな雰囲気に整った目鼻立ち。日焼け止めでも使っているのか、肌はそれほど焼けていないようだ。スタイルは例によって上の上。この娘に俺の息子を見せ付けてやったらさぞかし良い表情をしてくれることだろう。だが、生憎今日は別件だ。
「……うん」
この娘にしようか。最悪の結論が下されたことなど露知らず、準備運動を終えた彼女はそそくさとプールの中へと飛び込んでいった。一部の部員がプールサイドに残っているのを見るに、水泳部の練習というのは交代制なのだろうか。せっかくだから彼女が泳ぐ姿を見ておいてやろうと思い、俺はとりあえず見物に回ることにした。
「おー、早い早い。大したもんだ」
素人目だが、実際早かった。練習の初っ端からあんなに飛ばして大丈夫なのだろうか。それともウォーミングアップであの速さなのか。いずれにしても、あのスタイルは伊達ではないようだ。
「さて、じゃあそろそろ……」
一通り眺めて満足したことだし、そろそろ本番に移ることにしよう。彼女はちょうどプールの端でゴーグルを外し一息ついているようだった。そろそろ上に残った部員と交代でもするのだろうか。まあ、どちらでも同じことだ。
「それじゃ邪魔して悪いけど、っと」
改めて彼女に近寄り、水着が掛かったその肩にそっと触れてみた。瞬間、まるで底栓を抜かれた水のように、俺は彼女の身体へと吸い込まれていった。
「ひっ!?」
突如ビクンと身体を震わせ、彼女は引きつったような声を上げた。
「えっ、や……あぁっ……」
呻きと共に痙攣する身体。それに伴い、俺の意識は徐々に薄れつつあった。後はその身を委ねるだけだ。
「くぅっ……う、ぅ……」
仰け反らせていた背中を今度は猫の様に丸めるも、既に身体の奥底まで染み渡りつつある侵入者を振り払うことは叶わない。あともう一息だ。
「うあっ、あああぁっ……あ、ごぼっ」
そして遂にその身体は……などと思っていたら、唐突な息苦しさを覚えた。どうやら彼女は最後に足を滑らせてしまったらしく、鼻に水が入ってきたのだった。
「ぶはっ!……はぁっ、はぁ」
慌てて身体を起こし、水を吐きながら深呼吸。少々締まらない感はあるが、ともかくこれでこの身体は俺のものとなったわけだ。とりあえず、金輪際水の有るところでの憑依だけはすまいと心に誓った。
「ちょ、ちょっと柚希。大丈夫?」
プールサイドの上から心配そうな声がかかった。上に残った部員たちだ。どうもこの身体の持ち主は柚希という名前らしい。まさかその柚希ちゃんが男に乗っ取られて足を滑らせた、などとは誰も考えていないようだった。
「あっ、うん……足つっちゃって」
本来のこの娘ならこう答えることだろう。初めて憑依した時には少々気恥ずかしかったが、今では慣れたものだ。俺は近くにあった梯子からプールサイドに上がると、その場に座り込んでわざとらしく脚を撫でた。
「あいたたた……こりゃもう泳げないかなぁ」
艶かしい太股に思わず目を奪われそうになるのを堪えて、ちらりと部員仲間の様子を伺う。
「えっ、いや今普通に梯子登って……」
「なに柚希、サボり?」
ごもっとも。鋭いツッコミに返す言葉も無く、俺はただ笑って誤魔化すことしか出来なかった。
「あはは……」
嘘を吐いたのは悪手だったかもしれない。咎めるような部員たちの目付きが少々ガチというか、ちょっと怖い。こういう視線は望んでいないのだ、俺は。
「ほら、コーチ来てるよ。どうすんの」
「あー……」
見ると確かに先程の女性がこちらに向かって来ている。まだ事態を把握していない為か、その表情はどことなく心配気だった。
「ああもう、めんどくせえなぁ」
「えっ?」
騒ぎが大きくなるのは勘弁だった。せっかく良い身体を見付けたのにまた探し直すのも面倒だ。そうこう考えているうちにコーチはすぐ近くにまで迫っていた。
「波川さん、どうかしたの?」
「それがあの、柚希の奴……」
言い訳でもしようかと思ったが、他の部員に先手を打たれてしまった。まあ、体調不良とでも言っておけば何とかなるだろう。それにしてもこのコーチ、中々の良い体つきしてるな。こいつにしてもよかったかも……
「――波川さん? 聞いてるの?」
「あっはい。聞いてますよ。はいはい」
コーチも部員たちも困惑した表情で俺を見てくるものだから、居心地が悪くて仕方がなかった。雰囲気から察するに、恐らく普段のこの娘は真面目なタイプで通っていたのだろう。
「どこか悪いの?」
「えーと、ちょっとお腹が痛くてですね。帰っていいですか?」
今度はお腹を擦りながら俺は答えた。一部始終を把握している部員たちは愕然としていたが、最早言うこともないと思ったのか反論は無いようだった。
「そ、そう……それなら仕方がないけど」
「はーい。それじゃお疲れ様でーす」
もう少し体調が悪そうに演じてやってもよかったのだろうが、昔から俺はこの手のやり取りが嫌いなのだ。帰りたいなら帰らせてくれればいいじゃないか。
よっこらしょと腰を上げた俺は、物言いたげな面々を尻目にプールを後にした。追いかけて来ることも無いようだし、これで万事解決だ。申し訳程度にシャワーを浴びて、さて次はどうしたものか。
「おっ、これ部室かな」
プールの入り口付近にあるプレファブ小屋は、どうやら水泳部の部室らしかった。立て付けの悪い戸を開くと、中にはロッカーだのパイプ椅子だのが並んでいた。ここが部室で間違いないようだ。調度良いことだし、少々物色させてもらうことにしよう。
誰のものだか分からないロッカーをとりあえず適当に開いてみる。中にはブレザーや下着、その他一式が詰め込まれていた。いつもならここで第一のお楽しみタイムに突入するところなのだが、名無しとあっては迂闊に身に付けるわけにもいかない。
「ブスのだったら嫌だしなぁ」
あんまりな言い草だとは思うが、これが本音だ。少々リスクが高過ぎる。とはいえ一つ一つ名前を調べるのも手間がかかりそうだ。
「っと、鏡付いてるじゃん」
開けたときには気付かなかったのだが、ロッカーの扉の内側には鏡が据え付けられていた。鏡には間抜けな顔をした水泳帽の少女が写っている。それじゃあ、まずはこちらの物色を先に済ませることにしよう。
「なんだっけ……そう、柚希ちゃん!」
鏡の中の少女は自分の名前を呼びながら嬉しそうに微笑んでいる。成る程、やはり可愛い。俺の目利きもぼちぼち様になってきたということか。しかしどこかしら物足りなさを感じてしまうのは何故だろうか。
「ああそうか、帽子被ったままじゃあな」
物足りないわけだ。早速水泳帽を掴んでゴーグルごと脱いでしまうと、水を滴らせながらミディアム丈の髪が姿を現した。若干色が抜けているようにも見えるが、校則には引っ掛からないのだろうか。生まれつきのものなのかもしれないが。
「水泳やってるとこうなるんだっけ? ま、別に黒髪派ってわけでもないけど」
勝手な品評をしながら、濡れた髪を手櫛で整えてやる。ボサボサのままではこの娘も浮かばれまい。
「柚希ちゃん完成っと!」
適当に整えてやっただけなのだが、水泳帽と較べれば段違いだ。改めて髪型が容姿に占める割合を実感させられた。
「それで服はどうしようか。流石にこのままじゃ……」
俯いてみると、程よいサイズの膨らみを包む紺色の水着が目に入った。いわゆるワンピース型というやつだろうか。所々白いラインがあしらわれているものの、部活のユニフォームとしては少々地味なデザインに思えた。学校指定のものなのかもしれないが、これはこれで悪くはない。
「悪くはない……悪くはないか」
それはちょっとした思い付きだった。別に無理に着替える必要は無いのではないかと、むしろギリギリを攻めている感がアリなんじゃないかと。これは新しい発見だ。俺の身体に留まったまでは成し得なかったであろう、大発見だった。そうと決まれば善は急げだ。俺はロッカーの中から財布を探し出すと、それだけ持って部室の外へと飛び出した。
外に出るや否や、想像以上の寒気が襲ってきて思わず身震いした。先程は身体も暖まっていたから気にならなかったのだが、一旦冷えるとやはり身に染みる。しかし今はそんなことを考えている場合ではない。早く外へ、誰かのいるところへ。俺の思考は久々の大舞台にうち震えていた。
「いてて、靴履いてくればよかったかも……へへっ」
素足で飛び出したものだから足の裏に砂利が当たって仕方がない。しかしそれもまた、今の俺の前では些末な問題だった。そんなことよりも、俺は今水着で外を歩いているのだ。プール付近ならば許されるだろうその姿も、ひとたび校外へと躍り出ればどうだろう。 考えるだけでイキそうになる。
「あぁ、あぁもう……早いって……」
いつの間にかツンと面を上げた乳首が歩を進める度に水着と擦れ合い、ぴりぴりと快感をもたらしてくる。一方でしなやかな二本の脚の間では、プールの水とは明らかに異なった熱い湿り気が湧き出始めていた。
「あはっ……柚希ちゃんってば」
これこそが女の身体を選んだ理由だった。これがもし俺本来の身体であれば、どれだけ興奮しようが息子がおっ勃って終いだっただろう。女は違う。昂れば昂るほど、こうしてしっかりと応えてくれるのだ。しかしまだ前座も前座だというのにこの感じ様、どうもこの娘はだいぶスケベな身体をしているようだ。外見で選んだにしてはかなりの大当りだった。
「んん……あ、人だっ」
校門近くまで辿り着いたところでようやく一人目。惜しくも男子生徒だったが小手調べには充分だ。こちらには気が付いていないようだが、逃すものか。
「あ、あのっ、そこのお兄さんっ!」
駆け寄ろうとするも、股と乳首が擦れて上手く走れない。すかさず声を上げてこちらの存在をアピールしてやる。
「あっ、こっち向いた……」
身体をもじもじくねらせながら、少しでも距離を詰めていく。服を脱ぎ捨てるのは何より距離が重要なのだ。遠過ぎれば威力半減だし、近付こうとし過ぎればタイミングを逸してしまう。肝心の男子生徒はと言うと、唖然としながらこちらを眺めている。そこで俺はいつもと勝手が違うこと気が付いた。ああそうか、水着だからか。
「なっ!? ちょっと、何やって……」
突如迫り来る水着姿の少女。男子としては本来興奮するべき状況なのかもしれないが、いきなり放り込まれるとそういうわけにもいかないらしい。明らかにビビっている。でも視線はこちらに釘付け。中々良い反応だ。
「へへっ、お兄さんっ。どうよこれっ、脱いで欲しい?」
「えっ、いや、その……」
俺としても初めての状況だったが、そこは経験値だ。脱いで全てをさらけ出すか、粘って粘って高まらせるか。男子生徒は狼狽した様子で顔を反らしながらも、ちらちらと俺の様子を伺っている。
「ねぇねぇ、脱いで欲しいの? 欲しくないの?」
更ににじり寄ってやると、なんとその男子生徒は「ひえっ」と情けない声を上げて走り去ってしまった。
「あぁ、逃げちゃった……」
惜しいことをした。俺としたことが距離を測り間違えてしまうとは迂闊だったが、これも水着の奥深さというやつか。考えてみれば、下手をすれば全裸よりもエロい姿とも取れるのだ。
「でも、でも……」
快感だった。服を脱ぎ捨てずとも湧き上がってくる解放感に、状況すら飲み込めていない相手の表情。ここに来て新しい境地に至るとは思ってもみなかった。水着様々だ。
「よしっ、どんどん行こうっ!」
財布片手に俺は再び歩き始めた。そう、今回のゴールはこんなところじゃない。この姿でどうしても行かなければならない場所があるのだ。
「あぁ、見られてる……見られちゃってるよぉ……」
学校から出発して10分は経っただろうか。何しろ水着姿で街中を練り歩いているのだから、特にこれといった障害もなくここまで来られたのが不思議なぐらいだった。道行く人は皆、俺の身体を二度見三度見してから通り過ぎていく。始めは「ああ、そういうファッションも有るのね」という顔でこちらを一瞥するのが面白くて、その度につい笑ってしまう。
「ねえ、あれ水着?」
「いやいや……えっ、マジで?」
擦れ違い様にそんな声が聞こえてきた。若い男女の二人組だ。ここで水着を脱ぎ捨ててしまったらどうなるだろう。試してやりたくて仕方なかったが、なんとか堪える。こんなところで捕まるわけにはいかないのだ。
「うぅ……もう限界だって……」
相変わらず乳首は刺激されっぱなしで、人目が増えてきた興奮も相まって一歩一歩が相当に長く感じる。ここに来るまでの間でも、歩いているだけだというのに2回程軽くイッてしまっていた。あまり目立つと呼び止められかねないからすぐに立ち上がってまた歩くのだが、そろそろ本当に限界が近い。それにちょっと、足の裏も別の意味でそろそろヤバそうだった。太股には幾筋もの粘液が伝い、時折ぼたぼたとアスファルトの上にその後を残していく。腰が震え、真っ直ぐ歩くことすらままならない。長い長い道のりだった。
「はぁー……はぁー……」
そして遂に、俺はそこに辿り着いた。こじんまりとした建物の中に見えるのは、最後の関門である改札口。この為に持ってきた財布を力強く握り締め、最後の力を振り絞って俺は歩いた。
「隣の駅は……ああもう、なんでもいいやっ」
財布を引っくり返して適当にお札を取り出し、券売機に突っ込んだ。ボタンを連打し切符をひっ掴み、なるべく何食わぬ顔を装いながら改札口へ。この時ばかりは変に視線を集めないことを願った。まあ駅員はバッチリこちらをガン見していたのだが、俺の堂々とした態度が功を奏したのか呼び止められることはなかった。後はホームで待つだけだ。
「早く早くっ……」
気が気ではなかった。ここまで来たのだ、目的は果たしたかった。
神はそんな俺の願いを聞き付けてくれたのか、意外な程に早くその箱はホームへと現れた。人目を満載した、逃げる場所のない箱だ。
「きたっ、きたよっ……!」
最早ホームの人間など物の数ではなかった。ドアが開くと同時、出てきた人混みを押しのけて俺はその中へと転がり込んだ。小さなどよめきが起き、その後ドアが閉じた。帰宅ラッシュに差し掛かった為か、満員とは言わないまでもかなりの人数だ。神様、本当にありがとう。
乗客たちの視線は今、全て俺の元へと注がれている。この狭い空間の中にある全ての視線がだ。吊革に掴まり、震える脚に鞭打ち、深呼吸した。ともすれば果ててしまいそうな意識をなんとか保ちながら、俺は口を開いた。
「ええと、私……波川、柚希……です」
どよめきが収まり、電車の走行音だけが鳴り響き続けていた。一方で、信じられないものを見るかのような彼らの目付きはそのままだ。最高の反応だった。
「んんっ……ご覧の通り、◯◯高校で水泳部やってますっ」
水着に残った僅かなプールの水を空調が撫で、俺の体温を奪い去ろうとする。だがむしろ、俺の身体は熱いほどに火照り始めていた。
「はぁ、今日は皆さんに私の水着姿を見て頂くためにぃ……」
股間が熱い。殆ど無意識に伸ばされた右手が股布に押し付けられ、深い溝を作り上げた。丈の足りなくなった生地は自然とハイレグ形となり、隅からは手入れのされた恥毛が顔を覗かせた。
「あはぁっ……ど、どうですかっ、私の水着っ!……んんっ」
再び起こったどよめきには怒気の色まで混ざり始めていた。初めての経験だった。ここまでじっくりと自分を見て貰えることも含めて、全てがこの上無く新鮮に思えた。
「ほらっ、乳首もこんなにっ……! ねえっ、見てっ」
背筋を伸ばし胸元の生地を張り詰めさせてやると、痛々しいほどに尖りきった乳首が水着の上に象られた。疲れなどいつの間にか忘れていた。見せたい。見せてはいけないものを一つ残らず、全部見せ尽くしてやりたい。
「柚希のっ、私のおっぱいっ……感度もすごいんですよぉっ、ほらっ!」
吊革など持っていられなかった。倒れ込むように床に身体を投げ出した俺は、空いた左手で水着ごと胸を揉みしだき、乳首をこねくり回した。
「んあぁっ! あぁっ、現役JKの水着っ……んっ、オナニーですよぉっ」
甲高い喘ぎ声が車内に響き渡った。自分で声を上げておいてなんだが、良い音だと思った。可愛らしくも艶っぽい、こんな公共の場では決して発するべきではない音だった。声一つ取っても見せる道具と成り得るのだから驚きだ。この声をもっと皆に聞かせてやらねば。俺は快感の波に合わせ、ただただ喘いだ。時にはわざとらしく鼻にかかったような色を織り交ぜながら、息の続く限り声を張り上げた。
乗客たちは固まったように動かない。期待した通り、これぞ閉鎖空間の成せる業だ。男性客の中には露骨に股間にテントで張っている者まで見受けられた。
「ね、良いもん見れたでしょっ! あははぁっ」
愛液で滑る床の上で腰をくねらせ、俺はひたすらに痴態を繰り返し続けていた。心臓が張り裂けそうだった。そんな中、不意に流れ出した車内のアナウンスは次駅への到着が近いことを告げた。ついでに、隣の車両から騒ぎを聞き付けた車掌が向かって来ているのが目に入った。名残惜しいが、そろそろ潮時だ。
「んっ、私のこと皆にもっと……あんっ、じっくり見て貰いたかったんですけどぉっ」
俺は胸と股間を弄くる手を休め、肩紐へと手をかけた。仕上げにやることは勿論決まっている。露出狂たる者、着たままで終わるということは有り得なかった。
「はぁっ……もう見せちゃいますっ。私の全部、見せちゃいますよぉっ」
脱ぎ方など知らない。ただ己の本能の命ずるままに両手で肩紐をそれぞれ掴み、力任せに左右に引っ張った。肩紐が伸びて出来たスペースにまずは右腕から通すと、拘束を失った生地はあっさりと腹の辺りまでするりと落ちた。同時に全く日焼けていない二つの乳房がぷるんと震えながら姿を現す。乳首は案の定、思いきり勃ち尽くしている。
「あぁ~~っ、おっぱいっ、柚希のおっぱいぃ」
何人かの悲鳴が上がった。何を考えたのか、車掌に対して怒号を向けている者までいるようだった。この状況ももう長くは持たないだろう。最後はこれだ。俺は背中を床に預けると、たわんだ水着を一気に足下へと引きずり下ろした。
「はいっ、おまんこですよぉっ! もっと、もっと見てぇ~~」
股をこれでもかとばかりに開き、思いきり見せ付けてやる。車内はまさに阿鼻叫喚の一言だった。最高だ、そうでなくては。
秘部がひくひくと痙攣しているのが見ずとも伝わってくる。思わず指を二本ほどねじ込んでやると、ぶるりとした身体の震えと共に、これまでに無いほどの快感が俺を襲った。
「かはっ、あっ、いぐっ……柚希っ、柚希いっちゃうよぉっ」
純粋に快感を貪りたいという気持ちも高まりつつあった俺は、とにかく指で膣内を掻き回した。吹き出た愛液がまた床を濡らし、腰の滑りを一層良いものとしてくれた。脚に纒わり付いた皺くちゃの水着は、最早水溜まりを引き伸ばすだけのモップ程度の役割しか果たしていなかった。
これらの行為一つ一つが、男の性器を露出させること以上の禁忌なのだ。冥利に尽きるとはこのことだった。もう耐えられない。耐える必要もない。全部吐き出してしまおう。
「あ、あぁっ……ああぁぁあああ~~」
芋虫のように床の上をのたうちながら、俺は果てた。自らの荒い息遣いがやたらと遠く聞こえる。もう本当に潮時のようだ。思い残すことなど何も無いのだから、それでも一向に構わない。満ち足りた気分だった。
「君っ、何やってるんだっ!」
車掌が少し躊躇してから俺の腕を掴んだ。振り払う気もなかった。ドアが開き、何人かの駅員が車両に乗り込んできた。もうどうにもならない。全て終わりだ。
「何とか言いなさいっ! ちょっと!」
「はぁ……ありがとう、柚希ちゃん……」
「な、何を……」
別の駅員がもう片方の腕を掴んだが、それは既に俺の腕ではなかった。露出趣味などとは縁もゆかりも無い、一水泳部員のか細い腕だ。
複数人で殆ど全裸の少女を羽交い締めにするその光景は、端から見れば襲っているようにしか見えなかった。実際、目を覚ましたら彼女はそう受け取ることだろう。まあ、いずれにしても俺には関係の無いことだ。
「それじゃバイバイ、柚希ちゃん」
誰かにぶつかってしまわないように高度を上げた俺は、振り返って駅の様子を伺ってみた。ホームに立つ野次馬の中には、あろうことか携帯のカメラで車内の様子を収める者までいるようだった。もうちょっと粘ってもよかったかもしれないと少し後悔したが、今更戻るのも億劫だった。自分の身体はこれっぽっちも動かしていないのだが、とにかく疲れたのだ。さっさと帰って今日の思い出を肴に致すとしよう。今頃彼女は意識を取り戻した頃だろうか。ふとそんなことを考えながら、俺は帰路に着いた。
意外なことに、翌日の紙面に波川柚希の名前が挙がることはなかった。三面記事に電車が遅延した旨が小さく載っていただけで、当人の俺ですら始めはそれだと分からなかったほどだ。考えてみれば、内容が内容なのだから当然なのかもしれない。噂話程度に騒動のことを耳にすることこそ有れど、結局彼女があの後どうなったのかは分からず終いだった。とは言ってもあれだけのことをやらかしたのだ。多分、あのまま平穏無事で済んだというわけにはいかないだろう。
一方で俺の方はと言うと、薬の入手元である「とあるツテ」の人間にこっぴどく叱られる羽目になった。なんでもやり過ぎだとか、あまり目立つなだとか。使い道は自由だと言ったのはあんたらじゃないかと反論したくもなったが、目立ち過ぎたのは否定しようもない事実だったので、大人しく聞く他なかった。薬を没収されなかっただけでも御の字だと思うことにしよう。
しかしいざ釘を刺されてしまった今、もうあんな派手な真似は二度と出来ないのだと思うと、なんだか無性に鬱屈した気分になってしまう。これでは以前と何ら変わりないような気もするが、しかし薬はまだ残っている。目立ち過ぎず、地味過ぎず。調度良い折り合いを探ってみるのも一興かもしれない。
「見せて、見られて……そうだ」
早速良いことを思い付いた。全く、我ながら毎度中々の発想力だ。ほとぼりが冷めた頃合いに実行に移してやろう。使うのは勿論、女の身体だ。あれをもう一度味わえるその日が楽しみで楽しみで仕方がなかった。だがその為には少々の下準備が必要となりそうだ。借金まみれの生活だが、やってやろうじゃないか。
露出狂としての人生はまだまだ始まったばかりだ。俺は机の上にあった薬瓶を手に取った。そして中から取り出した一粒の錠剤をおもむろに口の中へと放り込み、逸る気持ちを抑えながらゆっくりと目を閉じた。
だがしかし、世知辛いのは世の常か。俺の唯一の楽しみは数年程前から急速にそのリスクを増しつつあった。要するに、やたらと取り締まりが厳しくなったのだ。月2ペースなどと言ってる場合ではなかった。街の治安を守ろうというとは大変結構なことだが、人の気慰みまで奪い去ろうと言うのは一体どういう了見か。同志諸君がしょっぴかれるニュースを目にしては深く溜息を吐く、そんな鬱憤溜まることこの上ない生活が長らく続いていた。
転機は突然だった。
結論から言うと、俺の人生は良くも悪くも「憑依薬」なるブツのお陰で180度変わることとなったのだった。代わりに大変な額の借金をこさえてしまったのだが、それはこの際気にしないでおくことにする。とあるツテから手に入れたその薬は、読んで字の如く他人の身体を乗っ取って意のままに操ることが出来るようになるという代物だった。となれば、するべきことは一つだ。空に浮かぶ俺の足元には今、放課後の余暇に沸き立つ女子高生達の姿があった。たまたま最初に乗り移ったのが女性でなければ、恐らくその発想には生涯至らなかっただろう。まさか擦っただけでその身体に吸い込まれる等とは思ってもいなかったからなのだが、今ではその誤算に感謝する他ない。
「はーい皆集まってー。練習始めるよー」
コーチらしき女性の声と、それに応える疎らな返事。屋外プールの方からだった。水泳部と思しき集団が準備運動に勤しんでいる姿が目に入った。調度良い、今日はあそこから目星を付けることにしよう。
皆が皆、惜し気もなくその水着姿を披露しながら身体をほぐしている。そのすぐ隣でこうして一人一人品定めされているなどとは夢にも思うまい。とはいえ、別に俺はこうして覗き見をしたいが為に大枚叩いた訳ではない。目的はあくまで見られること。見せるに値する身体を探しているだけのことだ。
「うーん……」
運動しているだけあってか揃いも揃ってスタイルは上々だが、顔の方はどうだろう。この娘はパス、この娘もイマイチ。確かに俺は救いようもない変態野郎だが、だからといって女に興味が無い訳じゃない。そりゃどうせなら可愛い娘の方が良い。
「おっ、これは中々……」
皆が水泳帽を被って今一つ代わり映えしない中、思わず目に留まった少女が一人。少し大人しそうな雰囲気に整った目鼻立ち。日焼け止めでも使っているのか、肌はそれほど焼けていないようだ。スタイルは例によって上の上。この娘に俺の息子を見せ付けてやったらさぞかし良い表情をしてくれることだろう。だが、生憎今日は別件だ。
「……うん」
この娘にしようか。最悪の結論が下されたことなど露知らず、準備運動を終えた彼女はそそくさとプールの中へと飛び込んでいった。一部の部員がプールサイドに残っているのを見るに、水泳部の練習というのは交代制なのだろうか。せっかくだから彼女が泳ぐ姿を見ておいてやろうと思い、俺はとりあえず見物に回ることにした。
「おー、早い早い。大したもんだ」
素人目だが、実際早かった。練習の初っ端からあんなに飛ばして大丈夫なのだろうか。それともウォーミングアップであの速さなのか。いずれにしても、あのスタイルは伊達ではないようだ。
「さて、じゃあそろそろ……」
一通り眺めて満足したことだし、そろそろ本番に移ることにしよう。彼女はちょうどプールの端でゴーグルを外し一息ついているようだった。そろそろ上に残った部員と交代でもするのだろうか。まあ、どちらでも同じことだ。
「それじゃ邪魔して悪いけど、っと」
改めて彼女に近寄り、水着が掛かったその肩にそっと触れてみた。瞬間、まるで底栓を抜かれた水のように、俺は彼女の身体へと吸い込まれていった。
「ひっ!?」
突如ビクンと身体を震わせ、彼女は引きつったような声を上げた。
「えっ、や……あぁっ……」
呻きと共に痙攣する身体。それに伴い、俺の意識は徐々に薄れつつあった。後はその身を委ねるだけだ。
「くぅっ……う、ぅ……」
仰け反らせていた背中を今度は猫の様に丸めるも、既に身体の奥底まで染み渡りつつある侵入者を振り払うことは叶わない。あともう一息だ。
「うあっ、あああぁっ……あ、ごぼっ」
そして遂にその身体は……などと思っていたら、唐突な息苦しさを覚えた。どうやら彼女は最後に足を滑らせてしまったらしく、鼻に水が入ってきたのだった。
「ぶはっ!……はぁっ、はぁ」
慌てて身体を起こし、水を吐きながら深呼吸。少々締まらない感はあるが、ともかくこれでこの身体は俺のものとなったわけだ。とりあえず、金輪際水の有るところでの憑依だけはすまいと心に誓った。
「ちょ、ちょっと柚希。大丈夫?」
プールサイドの上から心配そうな声がかかった。上に残った部員たちだ。どうもこの身体の持ち主は柚希という名前らしい。まさかその柚希ちゃんが男に乗っ取られて足を滑らせた、などとは誰も考えていないようだった。
「あっ、うん……足つっちゃって」
本来のこの娘ならこう答えることだろう。初めて憑依した時には少々気恥ずかしかったが、今では慣れたものだ。俺は近くにあった梯子からプールサイドに上がると、その場に座り込んでわざとらしく脚を撫でた。
「あいたたた……こりゃもう泳げないかなぁ」
艶かしい太股に思わず目を奪われそうになるのを堪えて、ちらりと部員仲間の様子を伺う。
「えっ、いや今普通に梯子登って……」
「なに柚希、サボり?」
ごもっとも。鋭いツッコミに返す言葉も無く、俺はただ笑って誤魔化すことしか出来なかった。
「あはは……」
嘘を吐いたのは悪手だったかもしれない。咎めるような部員たちの目付きが少々ガチというか、ちょっと怖い。こういう視線は望んでいないのだ、俺は。
「ほら、コーチ来てるよ。どうすんの」
「あー……」
見ると確かに先程の女性がこちらに向かって来ている。まだ事態を把握していない為か、その表情はどことなく心配気だった。
「ああもう、めんどくせえなぁ」
「えっ?」
騒ぎが大きくなるのは勘弁だった。せっかく良い身体を見付けたのにまた探し直すのも面倒だ。そうこう考えているうちにコーチはすぐ近くにまで迫っていた。
「波川さん、どうかしたの?」
「それがあの、柚希の奴……」
言い訳でもしようかと思ったが、他の部員に先手を打たれてしまった。まあ、体調不良とでも言っておけば何とかなるだろう。それにしてもこのコーチ、中々の良い体つきしてるな。こいつにしてもよかったかも……
「――波川さん? 聞いてるの?」
「あっはい。聞いてますよ。はいはい」
コーチも部員たちも困惑した表情で俺を見てくるものだから、居心地が悪くて仕方がなかった。雰囲気から察するに、恐らく普段のこの娘は真面目なタイプで通っていたのだろう。
「どこか悪いの?」
「えーと、ちょっとお腹が痛くてですね。帰っていいですか?」
今度はお腹を擦りながら俺は答えた。一部始終を把握している部員たちは愕然としていたが、最早言うこともないと思ったのか反論は無いようだった。
「そ、そう……それなら仕方がないけど」
「はーい。それじゃお疲れ様でーす」
もう少し体調が悪そうに演じてやってもよかったのだろうが、昔から俺はこの手のやり取りが嫌いなのだ。帰りたいなら帰らせてくれればいいじゃないか。
よっこらしょと腰を上げた俺は、物言いたげな面々を尻目にプールを後にした。追いかけて来ることも無いようだし、これで万事解決だ。申し訳程度にシャワーを浴びて、さて次はどうしたものか。
「おっ、これ部室かな」
プールの入り口付近にあるプレファブ小屋は、どうやら水泳部の部室らしかった。立て付けの悪い戸を開くと、中にはロッカーだのパイプ椅子だのが並んでいた。ここが部室で間違いないようだ。調度良いことだし、少々物色させてもらうことにしよう。
誰のものだか分からないロッカーをとりあえず適当に開いてみる。中にはブレザーや下着、その他一式が詰め込まれていた。いつもならここで第一のお楽しみタイムに突入するところなのだが、名無しとあっては迂闊に身に付けるわけにもいかない。
「ブスのだったら嫌だしなぁ」
あんまりな言い草だとは思うが、これが本音だ。少々リスクが高過ぎる。とはいえ一つ一つ名前を調べるのも手間がかかりそうだ。
「っと、鏡付いてるじゃん」
開けたときには気付かなかったのだが、ロッカーの扉の内側には鏡が据え付けられていた。鏡には間抜けな顔をした水泳帽の少女が写っている。それじゃあ、まずはこちらの物色を先に済ませることにしよう。
「なんだっけ……そう、柚希ちゃん!」
鏡の中の少女は自分の名前を呼びながら嬉しそうに微笑んでいる。成る程、やはり可愛い。俺の目利きもぼちぼち様になってきたということか。しかしどこかしら物足りなさを感じてしまうのは何故だろうか。
「ああそうか、帽子被ったままじゃあな」
物足りないわけだ。早速水泳帽を掴んでゴーグルごと脱いでしまうと、水を滴らせながらミディアム丈の髪が姿を現した。若干色が抜けているようにも見えるが、校則には引っ掛からないのだろうか。生まれつきのものなのかもしれないが。
「水泳やってるとこうなるんだっけ? ま、別に黒髪派ってわけでもないけど」
勝手な品評をしながら、濡れた髪を手櫛で整えてやる。ボサボサのままではこの娘も浮かばれまい。
「柚希ちゃん完成っと!」
適当に整えてやっただけなのだが、水泳帽と較べれば段違いだ。改めて髪型が容姿に占める割合を実感させられた。
「それで服はどうしようか。流石にこのままじゃ……」
俯いてみると、程よいサイズの膨らみを包む紺色の水着が目に入った。いわゆるワンピース型というやつだろうか。所々白いラインがあしらわれているものの、部活のユニフォームとしては少々地味なデザインに思えた。学校指定のものなのかもしれないが、これはこれで悪くはない。
「悪くはない……悪くはないか」
それはちょっとした思い付きだった。別に無理に着替える必要は無いのではないかと、むしろギリギリを攻めている感がアリなんじゃないかと。これは新しい発見だ。俺の身体に留まったまでは成し得なかったであろう、大発見だった。そうと決まれば善は急げだ。俺はロッカーの中から財布を探し出すと、それだけ持って部室の外へと飛び出した。
外に出るや否や、想像以上の寒気が襲ってきて思わず身震いした。先程は身体も暖まっていたから気にならなかったのだが、一旦冷えるとやはり身に染みる。しかし今はそんなことを考えている場合ではない。早く外へ、誰かのいるところへ。俺の思考は久々の大舞台にうち震えていた。
「いてて、靴履いてくればよかったかも……へへっ」
素足で飛び出したものだから足の裏に砂利が当たって仕方がない。しかしそれもまた、今の俺の前では些末な問題だった。そんなことよりも、俺は今水着で外を歩いているのだ。プール付近ならば許されるだろうその姿も、ひとたび校外へと躍り出ればどうだろう。 考えるだけでイキそうになる。
「あぁ、あぁもう……早いって……」
いつの間にかツンと面を上げた乳首が歩を進める度に水着と擦れ合い、ぴりぴりと快感をもたらしてくる。一方でしなやかな二本の脚の間では、プールの水とは明らかに異なった熱い湿り気が湧き出始めていた。
「あはっ……柚希ちゃんってば」
これこそが女の身体を選んだ理由だった。これがもし俺本来の身体であれば、どれだけ興奮しようが息子がおっ勃って終いだっただろう。女は違う。昂れば昂るほど、こうしてしっかりと応えてくれるのだ。しかしまだ前座も前座だというのにこの感じ様、どうもこの娘はだいぶスケベな身体をしているようだ。外見で選んだにしてはかなりの大当りだった。
「んん……あ、人だっ」
校門近くまで辿り着いたところでようやく一人目。惜しくも男子生徒だったが小手調べには充分だ。こちらには気が付いていないようだが、逃すものか。
「あ、あのっ、そこのお兄さんっ!」
駆け寄ろうとするも、股と乳首が擦れて上手く走れない。すかさず声を上げてこちらの存在をアピールしてやる。
「あっ、こっち向いた……」
身体をもじもじくねらせながら、少しでも距離を詰めていく。服を脱ぎ捨てるのは何より距離が重要なのだ。遠過ぎれば威力半減だし、近付こうとし過ぎればタイミングを逸してしまう。肝心の男子生徒はと言うと、唖然としながらこちらを眺めている。そこで俺はいつもと勝手が違うこと気が付いた。ああそうか、水着だからか。
「なっ!? ちょっと、何やって……」
突如迫り来る水着姿の少女。男子としては本来興奮するべき状況なのかもしれないが、いきなり放り込まれるとそういうわけにもいかないらしい。明らかにビビっている。でも視線はこちらに釘付け。中々良い反応だ。
「へへっ、お兄さんっ。どうよこれっ、脱いで欲しい?」
「えっ、いや、その……」
俺としても初めての状況だったが、そこは経験値だ。脱いで全てをさらけ出すか、粘って粘って高まらせるか。男子生徒は狼狽した様子で顔を反らしながらも、ちらちらと俺の様子を伺っている。
「ねぇねぇ、脱いで欲しいの? 欲しくないの?」
更ににじり寄ってやると、なんとその男子生徒は「ひえっ」と情けない声を上げて走り去ってしまった。
「あぁ、逃げちゃった……」
惜しいことをした。俺としたことが距離を測り間違えてしまうとは迂闊だったが、これも水着の奥深さというやつか。考えてみれば、下手をすれば全裸よりもエロい姿とも取れるのだ。
「でも、でも……」
快感だった。服を脱ぎ捨てずとも湧き上がってくる解放感に、状況すら飲み込めていない相手の表情。ここに来て新しい境地に至るとは思ってもみなかった。水着様々だ。
「よしっ、どんどん行こうっ!」
財布片手に俺は再び歩き始めた。そう、今回のゴールはこんなところじゃない。この姿でどうしても行かなければならない場所があるのだ。
「あぁ、見られてる……見られちゃってるよぉ……」
学校から出発して10分は経っただろうか。何しろ水着姿で街中を練り歩いているのだから、特にこれといった障害もなくここまで来られたのが不思議なぐらいだった。道行く人は皆、俺の身体を二度見三度見してから通り過ぎていく。始めは「ああ、そういうファッションも有るのね」という顔でこちらを一瞥するのが面白くて、その度につい笑ってしまう。
「ねえ、あれ水着?」
「いやいや……えっ、マジで?」
擦れ違い様にそんな声が聞こえてきた。若い男女の二人組だ。ここで水着を脱ぎ捨ててしまったらどうなるだろう。試してやりたくて仕方なかったが、なんとか堪える。こんなところで捕まるわけにはいかないのだ。
「うぅ……もう限界だって……」
相変わらず乳首は刺激されっぱなしで、人目が増えてきた興奮も相まって一歩一歩が相当に長く感じる。ここに来るまでの間でも、歩いているだけだというのに2回程軽くイッてしまっていた。あまり目立つと呼び止められかねないからすぐに立ち上がってまた歩くのだが、そろそろ本当に限界が近い。それにちょっと、足の裏も別の意味でそろそろヤバそうだった。太股には幾筋もの粘液が伝い、時折ぼたぼたとアスファルトの上にその後を残していく。腰が震え、真っ直ぐ歩くことすらままならない。長い長い道のりだった。
「はぁー……はぁー……」
そして遂に、俺はそこに辿り着いた。こじんまりとした建物の中に見えるのは、最後の関門である改札口。この為に持ってきた財布を力強く握り締め、最後の力を振り絞って俺は歩いた。
「隣の駅は……ああもう、なんでもいいやっ」
財布を引っくり返して適当にお札を取り出し、券売機に突っ込んだ。ボタンを連打し切符をひっ掴み、なるべく何食わぬ顔を装いながら改札口へ。この時ばかりは変に視線を集めないことを願った。まあ駅員はバッチリこちらをガン見していたのだが、俺の堂々とした態度が功を奏したのか呼び止められることはなかった。後はホームで待つだけだ。
「早く早くっ……」
気が気ではなかった。ここまで来たのだ、目的は果たしたかった。
神はそんな俺の願いを聞き付けてくれたのか、意外な程に早くその箱はホームへと現れた。人目を満載した、逃げる場所のない箱だ。
「きたっ、きたよっ……!」
最早ホームの人間など物の数ではなかった。ドアが開くと同時、出てきた人混みを押しのけて俺はその中へと転がり込んだ。小さなどよめきが起き、その後ドアが閉じた。帰宅ラッシュに差し掛かった為か、満員とは言わないまでもかなりの人数だ。神様、本当にありがとう。
乗客たちの視線は今、全て俺の元へと注がれている。この狭い空間の中にある全ての視線がだ。吊革に掴まり、震える脚に鞭打ち、深呼吸した。ともすれば果ててしまいそうな意識をなんとか保ちながら、俺は口を開いた。
「ええと、私……波川、柚希……です」
どよめきが収まり、電車の走行音だけが鳴り響き続けていた。一方で、信じられないものを見るかのような彼らの目付きはそのままだ。最高の反応だった。
「んんっ……ご覧の通り、◯◯高校で水泳部やってますっ」
水着に残った僅かなプールの水を空調が撫で、俺の体温を奪い去ろうとする。だがむしろ、俺の身体は熱いほどに火照り始めていた。
「はぁ、今日は皆さんに私の水着姿を見て頂くためにぃ……」
股間が熱い。殆ど無意識に伸ばされた右手が股布に押し付けられ、深い溝を作り上げた。丈の足りなくなった生地は自然とハイレグ形となり、隅からは手入れのされた恥毛が顔を覗かせた。
「あはぁっ……ど、どうですかっ、私の水着っ!……んんっ」
再び起こったどよめきには怒気の色まで混ざり始めていた。初めての経験だった。ここまでじっくりと自分を見て貰えることも含めて、全てがこの上無く新鮮に思えた。
「ほらっ、乳首もこんなにっ……! ねえっ、見てっ」
背筋を伸ばし胸元の生地を張り詰めさせてやると、痛々しいほどに尖りきった乳首が水着の上に象られた。疲れなどいつの間にか忘れていた。見せたい。見せてはいけないものを一つ残らず、全部見せ尽くしてやりたい。
「柚希のっ、私のおっぱいっ……感度もすごいんですよぉっ、ほらっ!」
吊革など持っていられなかった。倒れ込むように床に身体を投げ出した俺は、空いた左手で水着ごと胸を揉みしだき、乳首をこねくり回した。
「んあぁっ! あぁっ、現役JKの水着っ……んっ、オナニーですよぉっ」
甲高い喘ぎ声が車内に響き渡った。自分で声を上げておいてなんだが、良い音だと思った。可愛らしくも艶っぽい、こんな公共の場では決して発するべきではない音だった。声一つ取っても見せる道具と成り得るのだから驚きだ。この声をもっと皆に聞かせてやらねば。俺は快感の波に合わせ、ただただ喘いだ。時にはわざとらしく鼻にかかったような色を織り交ぜながら、息の続く限り声を張り上げた。
乗客たちは固まったように動かない。期待した通り、これぞ閉鎖空間の成せる業だ。男性客の中には露骨に股間にテントで張っている者まで見受けられた。
「ね、良いもん見れたでしょっ! あははぁっ」
愛液で滑る床の上で腰をくねらせ、俺はひたすらに痴態を繰り返し続けていた。心臓が張り裂けそうだった。そんな中、不意に流れ出した車内のアナウンスは次駅への到着が近いことを告げた。ついでに、隣の車両から騒ぎを聞き付けた車掌が向かって来ているのが目に入った。名残惜しいが、そろそろ潮時だ。
「んっ、私のこと皆にもっと……あんっ、じっくり見て貰いたかったんですけどぉっ」
俺は胸と股間を弄くる手を休め、肩紐へと手をかけた。仕上げにやることは勿論決まっている。露出狂たる者、着たままで終わるということは有り得なかった。
「はぁっ……もう見せちゃいますっ。私の全部、見せちゃいますよぉっ」
脱ぎ方など知らない。ただ己の本能の命ずるままに両手で肩紐をそれぞれ掴み、力任せに左右に引っ張った。肩紐が伸びて出来たスペースにまずは右腕から通すと、拘束を失った生地はあっさりと腹の辺りまでするりと落ちた。同時に全く日焼けていない二つの乳房がぷるんと震えながら姿を現す。乳首は案の定、思いきり勃ち尽くしている。
「あぁ~~っ、おっぱいっ、柚希のおっぱいぃ」
何人かの悲鳴が上がった。何を考えたのか、車掌に対して怒号を向けている者までいるようだった。この状況ももう長くは持たないだろう。最後はこれだ。俺は背中を床に預けると、たわんだ水着を一気に足下へと引きずり下ろした。
「はいっ、おまんこですよぉっ! もっと、もっと見てぇ~~」
股をこれでもかとばかりに開き、思いきり見せ付けてやる。車内はまさに阿鼻叫喚の一言だった。最高だ、そうでなくては。
秘部がひくひくと痙攣しているのが見ずとも伝わってくる。思わず指を二本ほどねじ込んでやると、ぶるりとした身体の震えと共に、これまでに無いほどの快感が俺を襲った。
「かはっ、あっ、いぐっ……柚希っ、柚希いっちゃうよぉっ」
純粋に快感を貪りたいという気持ちも高まりつつあった俺は、とにかく指で膣内を掻き回した。吹き出た愛液がまた床を濡らし、腰の滑りを一層良いものとしてくれた。脚に纒わり付いた皺くちゃの水着は、最早水溜まりを引き伸ばすだけのモップ程度の役割しか果たしていなかった。
これらの行為一つ一つが、男の性器を露出させること以上の禁忌なのだ。冥利に尽きるとはこのことだった。もう耐えられない。耐える必要もない。全部吐き出してしまおう。
「あ、あぁっ……ああぁぁあああ~~」
芋虫のように床の上をのたうちながら、俺は果てた。自らの荒い息遣いがやたらと遠く聞こえる。もう本当に潮時のようだ。思い残すことなど何も無いのだから、それでも一向に構わない。満ち足りた気分だった。
「君っ、何やってるんだっ!」
車掌が少し躊躇してから俺の腕を掴んだ。振り払う気もなかった。ドアが開き、何人かの駅員が車両に乗り込んできた。もうどうにもならない。全て終わりだ。
「何とか言いなさいっ! ちょっと!」
「はぁ……ありがとう、柚希ちゃん……」
「な、何を……」
別の駅員がもう片方の腕を掴んだが、それは既に俺の腕ではなかった。露出趣味などとは縁もゆかりも無い、一水泳部員のか細い腕だ。
複数人で殆ど全裸の少女を羽交い締めにするその光景は、端から見れば襲っているようにしか見えなかった。実際、目を覚ましたら彼女はそう受け取ることだろう。まあ、いずれにしても俺には関係の無いことだ。
「それじゃバイバイ、柚希ちゃん」
誰かにぶつかってしまわないように高度を上げた俺は、振り返って駅の様子を伺ってみた。ホームに立つ野次馬の中には、あろうことか携帯のカメラで車内の様子を収める者までいるようだった。もうちょっと粘ってもよかったかもしれないと少し後悔したが、今更戻るのも億劫だった。自分の身体はこれっぽっちも動かしていないのだが、とにかく疲れたのだ。さっさと帰って今日の思い出を肴に致すとしよう。今頃彼女は意識を取り戻した頃だろうか。ふとそんなことを考えながら、俺は帰路に着いた。
意外なことに、翌日の紙面に波川柚希の名前が挙がることはなかった。三面記事に電車が遅延した旨が小さく載っていただけで、当人の俺ですら始めはそれだと分からなかったほどだ。考えてみれば、内容が内容なのだから当然なのかもしれない。噂話程度に騒動のことを耳にすることこそ有れど、結局彼女があの後どうなったのかは分からず終いだった。とは言ってもあれだけのことをやらかしたのだ。多分、あのまま平穏無事で済んだというわけにはいかないだろう。
一方で俺の方はと言うと、薬の入手元である「とあるツテ」の人間にこっぴどく叱られる羽目になった。なんでもやり過ぎだとか、あまり目立つなだとか。使い道は自由だと言ったのはあんたらじゃないかと反論したくもなったが、目立ち過ぎたのは否定しようもない事実だったので、大人しく聞く他なかった。薬を没収されなかっただけでも御の字だと思うことにしよう。
しかしいざ釘を刺されてしまった今、もうあんな派手な真似は二度と出来ないのだと思うと、なんだか無性に鬱屈した気分になってしまう。これでは以前と何ら変わりないような気もするが、しかし薬はまだ残っている。目立ち過ぎず、地味過ぎず。調度良い折り合いを探ってみるのも一興かもしれない。
「見せて、見られて……そうだ」
早速良いことを思い付いた。全く、我ながら毎度中々の発想力だ。ほとぼりが冷めた頃合いに実行に移してやろう。使うのは勿論、女の身体だ。あれをもう一度味わえるその日が楽しみで楽しみで仕方がなかった。だがその為には少々の下準備が必要となりそうだ。借金まみれの生活だが、やってやろうじゃないか。
露出狂としての人生はまだまだ始まったばかりだ。俺は机の上にあった薬瓶を手に取った。そして中から取り出した一粒の錠剤をおもむろに口の中へと放り込み、逸る気持ちを抑えながらゆっくりと目を閉じた。
コメント
悪くないけどパンチが弱いというか前回ほどのセンセーショナルな感じがないですね次回に期待です
Re: タイトルなし
> 悪くないけどパンチが弱いというか前回ほどのセンセーショナルな感じがないですね次回に期待です
コメント有り難うございます! 前回というのは影のことでしょうか? 今回は周囲にドン引きされる様に焦点を当ててみたのですがダメでしたか。ううむ難しい…
正面から批評して頂ける機会は中々ないものですし、とても助かります。次回が何時になるかは分かりませんが、お待ち頂ければと思います
コメント有り難うございます! 前回というのは影のことでしょうか? 今回は周囲にドン引きされる様に焦点を当ててみたのですがダメでしたか。ううむ難しい…
正面から批評して頂ける機会は中々ないものですし、とても助かります。次回が何時になるかは分かりませんが、お待ち頂ければと思います
げっ、外道~~~~っ!
躊躇も遠慮の欠片もなく、見ず知らずの少女の名誉を穢し切るっ!
話が広まればもう学校に居場所もなかろうし、彼女が失ったものの大きさを思うと……いやあ、興奮しますわあ~。
躊躇も遠慮の欠片もなく、見ず知らずの少女の名誉を穢し切るっ!
話が広まればもう学校に居場所もなかろうし、彼女が失ったものの大きさを思うと……いやあ、興奮しますわあ~。
Re: タイトルなし
> nekomeさん
有り難うございます!
何の罪も無い上にたまたま選ばれただけの女の子が自らの手で人生を台無しにさせられていく様は本当に良いものですよね!
燃えどころはやっぱりそこなんです。それを燃えどころとしてきちんと描きたかったのですが、中々どうして…
有り難うございます!
何の罪も無い上にたまたま選ばれただけの女の子が自らの手で人生を台無しにさせられていく様は本当に良いものですよね!
燃えどころはやっぱりそこなんです。それを燃えどころとしてきちんと描きたかったのですが、中々どうして…
>今回は周囲にドン引きされる様に焦点を当ててみたのですがダメでしたか。ううむ難しい…
いやいやぽぜおさんのtwitterでのダーク発言で過剰に期待してしまっただけです。思ってたよりは異常ではあるがダークではない内容だったと思ってしまいました…
もちろん悪くはないし良く出来てると思いますよ
いやいやぽぜおさんのtwitterでのダーク発言で過剰に期待してしまっただけです。思ってたよりは異常ではあるがダークではない内容だったと思ってしまいました…
もちろん悪くはないし良く出来てると思いますよ
Re: タイトルなし
>No Nameさん
ああ、そういうことでしたか。今作は思い付いたネタを一気に書き上げた的なアレなので、元々書こうと思っていたダーク枠とはまた別のやつなのです。
むしろ自分の中ではライト気味に書いたぐらいのつもりだったり。思わせぶりなこと言っておいて何なのですが、そちら方面に関してはまた後程ということで!
ああ、そういうことでしたか。今作は思い付いたネタを一気に書き上げた的なアレなので、元々書こうと思っていたダーク枠とはまた別のやつなのです。
むしろ自分の中ではライト気味に書いたぐらいのつもりだったり。思わせぶりなこと言っておいて何なのですが、そちら方面に関してはまた後程ということで!