終業のチャイムが鳴り響いてから2時間近くが経過した頃、校内は驚く程の静寂に包まれていた。
グラウンドを賑わす運動部の掛け声も、旧校舎から微かに届くブラスバンドの演奏も、今日ばかりは鳴りを潜めているようだ。
他でもない、今日をもって定期テスト期間という名の大変有難い一大イベントが幕を開けたのだった。
部活動が禁止されているということもあり既に大半の生徒はそそくさと帰宅してしまったようで、どこの教室を見ても文字通りもぬけの殻だ。
そんな中俺はというと、未だに帰路に着くこともなく校舎の中をあちらこちらと歩き回っていた。
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